2013年12月12日

速記官制度を守る会大阪支部 第16回総会アピール

        速記官制度を守る会大阪支部 第16回総会アピール                                                     2013年12月10日 
 
裁判所速記官の養成が停止されて丸15年が経過し、全国の速記官配置数は最高時の825人(1996年)から208人(2013年)にまで激減してしまいました。
 
 一方、最高裁が養成停止時、「8〜10年程度で音声認識によって調書ができる」としていた技術開発は既に頓挫し、「音声認識データを検索する際のインデックスとして利用」するとトーンダウンさせたまま、今日に至っています。

 
日々行われている裁判員裁判をはじめとする各種の裁判の中で、ユーザーは公正で迅速な速記録の提供を求めていますが、その期待に十分応えることができるのは、速記官制度以外にはないということが、今では明白になっています。

 
本年7月6日、埼玉弁護士会・速記録問題対策特別委員会の呼び掛けに応え、大阪において、当会との意見交換会を開催しました。両会から19名が参加し、速記官制度の導入と構想、停止に至る経過や現状など問題点を話し合い、今後とも双方が具体的な事例を共有して運動を大きく広げていこうと申し合わせました。

 
また国会では、11月13日、衆議院法務委員会において民主党の郡 和子議員が、@速記官の養成停止決定は根拠からみて誤りであったと考えるが、どうか A障害者の司法参加を保障する手だてを裁判所は十分取っているか 神戸地裁において聴覚障害のある原告本人尋問が元速記官らによってリアルタイム速記された例があると聞くが、利用実績はどうか B裁判員裁判の評議において音声認識システムはインデックスとして利用できるとされているが利用実績はどうか 認識率は5段階評価の2と聞くがどうか C録音反訳方式における録音媒体の紛失や、反訳の脱落などの事例について、現システムの構造的欠陥だと考えるが、どうか、など、具体的かつ網羅的に質問されました。最高裁総務局長の答弁はほぼ従来どおりのものでしたが、Aについて、リアルタイム速記は司法行政として検討したことはない B認識率は個別バラツキがあり、調査はしていないが評議に供されていると承知している と無責任な答弁に終始しました。

 
このような中、本日私たちは第16回総会の記念講演としてお二方にお話ししていただきました。元裁判官の井戸謙一弁護士には、「裁判官こそ養成再開の声を」と題して講演いただき、今後の私たちの運動に新しい方向性を示唆していただきました。
 
スタンフォード大准教授の井上美弥子氏からは、「米国の法廷速記に関する最近の研究動向について」と題して、特にカリフォルニア州を中心とした事例を挙げて米国で活躍する法廷速記者の実情が報告され、私たちの運動に確信を深めるものとなりました。

 
速記官の減少や、最高裁の厚い壁など、取り巻く情勢は厳しいものがありますが、裁判所の外には、速記官による速記録を求めている多くのユーザーの存在があり、言語学の観点からみた速記官の重要性、また、人権を重んじる世界の裁判所での標準スタイルになっている速記者の存在があります。

私たちはさらに視野広く、これからも裁判の主体となる市民の方々や、関心をお持ちの諸団体に広く訴えるとともに、最高裁・国会などに対して、裁判所速記官の養成再開を求め続けて粘り強く活動を続けます。

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2013年11月27日

第16回大阪支部総会を開催します。

速記官制度を守る会大阪支部は、12月10日(火)午後6時から支部総会と記念講演会を開催します。会場は「ホテル・イルグランデ梅田」(大阪市北区西天満3-5-23)です。

平日の夕刻からですので時間は短いですが、総会はごく短時間に。
あと記念講演二題は興味深いものですので、お時間ございましたらぜひご参加ください。

記念講演二題を紹介します。
@井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会所属 元裁判官)
  「裁判官こそ養成再開の声を」と題して、長い間の裁判官としての経験を踏まえ、速記官による速記録の必要性など、語っていただけるものと思います。
A井上美弥子准教授(ワシントン大学大学院博士・現在スタンフォード大学准教授)
    「米国の法廷速記に関する最近の研究動向について part3」と題して、アメリカにおける法廷速記の現状のレポートをしていただきます。

第16回総会案内.jpg

この写真をクリックしていただくと、詳しい内容がご覧いただけます。
ぜひご参加ください。お待ちしております。



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2013年11月16日

11月13日、衆議院法務委員会で速記問題質疑

今、開会中の国会・衆議院法務委員会で、民主党の郡 和子議員が速記問題について質問されました。

ご自身の質問時間の大半を使って、2010年の神戸地裁における聴覚障害者の原告本人尋問に際して、元速記官によってリアルタイム字幕が付けられた事例の紹介や、聴覚障害者が裁判員になるに当たって、十分な情報保障の手当がされているのかなど、問いただされました。


答弁者は最高裁の総務局長です。


最高裁の答弁に変化はありませんが、郡議員から、「音声認識の認識率は、弁護士のアンケートで5段階評価で2である」と指摘され、横合いから、それ『落第』じゃないのという声が入る場面もありました。それに対しての最高裁答弁は「調査はしていないが評議に供されていると承知している。」と、無責任だとしか言いようのないものでした。


「速記官の養成を停止した根拠は誤りではなかったか」「使えない古いタイプを倉庫に山積みにして、現に速記官が使っている新しいタイプを支給しないのはなぜか」などなど、質問内容は網羅されています。

ビデオライブラリーで視聴することができますので、ご覧ください。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=43202&media_type

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2013年11月05日

関係各位に速記官制度についての要請行動、今日は京都弁護士会へ

引き続き弁護士会への要請行動を行っています。
10月8日滋賀弁護士会への要請行動は、このブログで既に紹介しましたが、今日11月5日午後、京都弁護士会に行ってきました。

安原支部長、出口副支部長(京都弁護士会)と事務局次長の3人で訪問しました。
京都弁護士会の藤井会長、伊山副会長が出迎えてくださり、ご挨拶のあと、担当の伊山副会長とお話をさせていただきました。

2年前にも同様の趣旨で伺ったことがあり、そのことは副会長もよく承知してくださっているとのことで、大変心強い思いがしました。

今回、再度伺ったことの説明をさしていただき、裁判に臨む関係者にとって、正確な速記録が早く届くことに異論が出るはずはなく、ぜひ京都弁護士会としてのご意見を挙げていただくよう要請しました。

伊山副会長からは「音声認識したDVDが交付されても、やはり京都弁は無理があるようで使えない。もっと早く、ゲラでもいいので速記録がもらえるというシステムにならないものだろうか。」というようなご意見をいただきました。
こうした要望に応えるためには速記官の数を確保しないと無理なんです、このままでは減少の一途です。ぜひ養成再開に向けての意見表明を、と訴えてきました。
お忙しい中、こうやって対応していただき大変有り難うございました。ぜひご検討くださいますようお願いいたします。

京都弁護士会へ要請11月5日.JPG

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2013年10月23日

「法言語学に見る速記者・速記官」守る会ニュースbR9から 

最新の本部ニュースbR9に、守る会 幹事 丸山 竜一さんの投稿記事が掲載されました。
ぜひ多くの方にお読みいただきたく、ブログに転載します。この稿は次号に続きます。
末尾にありますように、情報・ご意見をぜひお寄せください。写真は著書の一部です。
  
近年、法言語学に関する著書が相次いで出されており、これらの中に速記者・速記官が登場していますので、その内容について紹介しながら感想を述べてみます。
■5点の著書
  それは、
  ・『法言語学入門−司法制度におけることば』(ギボンズ著、東京外国語大学出版会、以下『入門』と略記)
  ・『法と言語−法言語学へのいざない』(橋内武、堀田秀吾編著、くろしお出版、以下『いざない』)
  ・『法廷はことばの教室や!−傍聴センセイ裁判録』(札埜和男著、大修館書店、以下、『教室』)
  ・『月刊言語2009年9月号−裁判ことばの言語学』(以下、『月刊言語』)
  ・『ことばの力学−応用言語学への招待』(白井恭弘著、岩波新書、以下、『力学』)
  の5点です。

■法廷における関係者として

  私が今回法言語学について紹介しようと考えたきっかけは、『入門』の「コモン・ロー法廷における関係者」の章で、裁判官、弁護士と続く節に「法廷における他の職員」があり、ここに「廷吏、速記者、書記官として働く職員がいる」と記されていたからでした。裁判官ほどに職員の説明があるわけではないのですが、別の章では、警察における「速記の訓練を受けた者の必要性」を述べています。
  もう一つ感心したのは、この著書の翻訳者が、stenographersを速記者と訳しており、索引にも載せているという観点です。ギボンズ氏については、1946年イギリス生まれ、1983年から2006年までシドニー大学言語学科で教鞭をとり、2003年から2005年まで国際法言語学会長をつとめる、と記されています。
  私は、表題を速記者・速記官としました。世界の法廷に速記者は確かにいるのですが、それが派遣された速記者なのか、裁判所に勤める速記官なのかは定かではありません。しかし、そうした些細な問題より、それらの法廷で速記をする職員を、世界的に見て、ギボンズ氏がstenographers・速記者と位置づけた意味は大きいと考えるものです。なぜなら、これが日本の法言語学会でも速記官を取り上げる一因になっているとも思えるからです。

■法廷速記者のいる国
  さて、その法廷速記者のいる国は具体的どこかというと,私の確認したところでは、アメリカ、フィンランド、ブラジル、韓国、イタリア、カナダ、イギリス、インド、アイルランドの9か国です。確認はできていないのですが、ギボンズ氏の国、オーストラリアも入れてもよいと考えます。
  ところで、アメリカ・フィンランド・ブラジルについては『世界の裁判員−14カ国イラスト法廷ガイド』(神谷説子・澤康臣著、日本評論社)に速記者が出ておりました。この著書、世界の裁判員事情がよくわかる、その取材力にも感心する優れたルポルタージュです。しかし、この14カ国の最後の章「日本」が画竜点睛を欠くものになっており残念です。そこには「さいたま地裁・・・、“裁判員時代の裁判所”だ。裁判員待合室には説明ビデオが上映される大型モニターがある。評議室にもモニターがあり、法廷のやりとりを音声認識装置で直ちに文章に変換して見直すことができる。」と記されています。この「誤報」、裁判所の広報に問題があるのかどうなのか、著者の取材元を知りたいところです。

■速記官

  話を日本にもどしますと、『いざない』『教室』『月刊言語』に速記官が紹介されています。
  『いざない』には、「裁判と方言(地域語)」の節で速記官が登場しますが、この執筆者札埜氏は、後の章「法言語教育」でも書いている高校の国語の先生で、著者紹介には、明治大学:法と言語科学研究所客員研究員と記されています。
  『教室』では、速記官について、「話し言葉は、はかないものです−速記官の果たす大きな役割」の章で、10ページ8節にわたり、「速記官の受難」にもふれながら「言語文化としての速記」など、詳しく論じられています。これらは、「守る会」の運動にとってもおおいに力を与えてくれる内容になっています。
(次号に続く)
法言語学入門.jpg 法廷は.jpg 法と言語.jpg
 
※法廷に速記者のいる国について何らかの情報をお持ち方は、ぜひ、このブログにコメントを付けてくださるなどにて「守る会」にお寄せください。


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2013年10月08日

関係各位に速記官制度についての要請行動、展開中

このブログの9月2日付けで紹介しました要請行動、今もずっと続けています。

スタートを切ったのは8月30日、弁護士会要請行動として日弁連と東京三会に要請文を持って行きました。
そのほか、多くの弁護士会に直接出向いて要請をするということもなかなか難しく、郵送にて要請を行っているというのが現状ですが、今日、守る会大阪支部は滋賀弁護士会を訪問して要請を行いました。

滋賀弁護士会は2年前にも要請に伺いましたが、今回は安原大阪支部長とともに、花子と現職速記官2人が参加し、速記官が年々減少していて速記立ち会い要請に応えられない状況になっていることなど、資料を基に現状を訴え、養成再開へのアクションを起こしていただきたいことをお願いしました。

対応してくださった会長、副会長からは、「裁判員裁判で音声認識のデータをいただいても全く使い物にならない」、「近江八幡の八幡は80000となっていて、これは笑えるかもしれないが、他には想像すらできない部分もある」「速記官による速記録が欲しいと思っている弁護士は多いだろうから、要請は前向きに受け止めて検討します」と力強くお話ししてくださいました。
うれしいです。
本当に現場で真剣に裁判に取り組んでおられる方は、弁護士はもちろん、裁判官、検察官だって速記官による速記録を必要とされていること、今回の訪問でも確信が持てました。

滋賀弁護士会訪問10/8.JPG

この一連の行動はまだ続きます。
国会の法務委員への要請行動も計画中です。
10月17日には司法総行動が行われますので、そこにも参加して訴える予定です。
皆さまのご支援、お願いいたします。

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2013年10月02日

歩きながら速記! 米国議会で。

アメリカでは新年度予算が成立せず、10月1日から政府機関の一部が閉鎖されたというニュースに驚いています。
その米国議会の上院・下院での議論の様子を伝えるTV画面で、歩きながら、首からぶら下げた速記タイプにソクソクと速記している女性速記者の姿が映し出されてびっくりでした。

皆さんもご覧になりましたか。

口角泡飛ばしながら大激論している議場で、座ったまま速記している姿は定番でしたが、今回は駅弁売りさんのようなスタイルで歩きながら、きっと野次みたいなものも速記するからでしょう、ソクソクと入力している姿に目が釘付けになりました。

新年度予算の成立まで議論は続くでしょう。その様子が映像に流れたら、皆さん、速記者にもぜひご注目ください。



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2013年09月24日

秋晴れの下、素晴らしい日本の原風景を楽しみました。

いいお天気に誘われて、飛鳥の棚田をいろどる彼岸花と、ユーモラスな案山子の力作を訪ねて友人たちと出かけました。
真っ赤な彼岸花は満開で、ときどき白いのが控えめなアクセントに咲いてます。写真を載せましたが、大ぶりな黄色の彼岸花、これは花子は初めて見ました。

日差しは暑かったこの夏と同じくらい照りつけていましたが、風は心地よく吹いてくれるし、何よりも棚田からわたってくる風は涼しく、稲のにおいが一杯で日差しを随分やわらげてくれました。
おかげで約4時間、11キロのハイキングを元気に歩くことができました。

この優美な曲線を持つ黄金色の棚田、縁をいろどる彼岸花の美しさは日本の原風景の一つ。
壊されないよう、守り続けなければならない宝物だよね、友人たちの思いも一緒でした。

棚田に映える彼岸花.JPG  初めての黄色い彼岸花.JPG  

今年の優秀賞かかし.JPG  今にもはじけそうな栗.JPG


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2013年09月02日

関係各位に、速記官制度に関する要請行動

「守る会」では以下の要請行動を、日弁連並びに全国の単位弁護士会に対し行っています。
更に、同様の趣旨で、衆参の法務委員会委員各氏に対しても行います。
関係各位のご協力、ご支援をお願いいたします。

各単位弁護士会 御中                       2013年8月
   裁判所速記官制度を守り、司法の充実・強化を求める会
                   会 長  鶴 見 祐 策(東京弁護士会所属)   
   最高裁判所や貴会と対応する裁判所に下記を要請してください
    〜速記官の養成再開に向けて〜
                             記
1 公判廷等での供述記録は原則として速記録とすること。
2 裁判員裁判はじめ、公正・迅速な裁判の実現に資するために、供述記録を即時に交付できるシステムを構築すること。
3 裁判所法一部改正法に対する附帯決議(衆議院法務委員会2004年3月12日、参議院法務委員会2004年3月30日)をふまえ電子速記タイプライターの官支給実現を図り、裁判所速記官の執務環境を整備すること。

                要 請 内 容 の 説 明
速記官制度をめぐる経過と問題

1 法廷速記の現状
@ 2013年4月、裁判所速記官は全国で208名になりました。
  戦後の司法の民主化の中で発足した裁判所速記官制度は、1997年の最高裁裁判官会議での養成停止決定のため、最大時825名いた速記官が大幅に減少しました。
A このため、速記官配置のなくなった地裁本庁が12庁、支部が11庁、一人配置の本庁が8庁、支部が4庁と増加しています。このままでは、いずれは裁判所から速記官がいなくなります。これは、国会が定めた裁判所の人的構成(裁判所法60条の2「各裁判所に速記官を置く」)を、最高裁が一方的に変更・廃止(最高裁による立法権侵害)することにほかなりません。
B 裁判では、民事、刑事を問わず、公判中心主義による再活性化や迅速な裁判の要請から、供述記録の早急な作成がより強く求められるようになっています。
 しかし、速記官数の急激な減少のため、訴訟当事者(本人や裁判官、検察官、弁護士)が速記録の作成を求めても、ほとんど要請に応えられない状況が広がり、その弊害が深刻化しています。
C 最高裁は、民間業者に委託する録音データの反訳(いわゆる録音反訳方式)による逐語的供述調書(書記官調書)の作成方式を導入しました。この方式は、完成までに日数がかかること、また誤字・脱字、訂正漏れ、意味不明箇所などから正確性が懸念され、審理にも少なくない影響を与えています。    
D 2008年末に当会が実施した全国の弁護士3000人を対象としたアンケート結果でも、録音反訳方式による逐語的供述調書に対しては、法廷での録音ミスや校正ミスなどによる不正確さや録音メモリーが民間業者との間でやり取りされることの危うさなど、多くの問題点が指摘されました。  
   近年も、2012年、横浜地裁で録音データの紛失、さいたま地裁で反対尋問のやり直しが行われるなどの事故が起きています。       

2 裁判員裁判での裁判記録
@ 2009年8月から始まった裁判員裁判は、法定刑の重い重大事件を対象として、一般市民が裁判官とともに審理し判断することになりました。裁判官でさえ何日も悩み抜くといわれる死刑判決も、裁判員には短期間の審理で結論を出すことが求められています。
A 裁判員の公正・的確な判断を保障するためには、法廷でのやりとりや証言内容が即時に確認できるようにすることが不可欠です。
   司法制度改革の審議当初、最高裁も即時の文字化が必要だとして、話し言葉を即時に文字化する音声認識システムの開発を進めてきました。しかし、このシステムは、話し言葉を入力手段とするため、音声の複雑性・不安定性という原理的な問題点の克服ができません。そこで最高裁は、音声認識システムの検索機能を強調し、裁判員裁判では、キーワードを入力することで、証人の証言を確認したい箇所が容易に検索できると説明するようになりました。
B 最高裁が採用した検索機能も、結局、音声の認識率が80パーセントと低く、検索システムとしての信頼性は高くありません。これまでにも、録画では一覧性や速読性がないとの指摘や、訴訟関係者に貸与されている音声認識システムでの反訳結果は、審理や訴訟準備にはほとんど利用できないとの声が上がったり、機器の不具合や操作ミスなど、多くの問題を生じています。
C 裁判所が、正確に文字化された供述記録を迅速に作成しないため、裁判員は、自分の記憶と自分の作成するメモで判断することを求められています。裁判員のなかには音声認識システムの存在を知らされずに審理・評議に臨んだり、証言内容を再確認できないまま判断せざるを得ない実態があったこと、130枚にも達するメモを取り続けたケースなどが報じられています。こうした裁判で、公正・的確な審理・評議・判決ができるのか大いに懸念されます。
D また、失聴や難聴など聴覚障がい者の「裁判を受ける権利」や「裁判員になる権利」を保障するには、バリアフリーとしてのリアルタイム速記による情報保障が不可欠です。最高裁は、手話通訳者と要約筆記者を確保するとしていますが、手話のできる聴覚障がい者は全体の約2割程度であること、要約筆記では十分な情報保障にならないことなど、聴覚障がい者に対する認識が不十分です。

3 世界と日本の速記事情
@ 今、世界の多くの国で、裁判には機械速記によるリアルタイム速記録が取り入れられています。特にアメリカでは、最高裁が速記官の養成を停止した当時約3万人だった速記者が、現在では6万人を超える数に増えています。最近では韓国、中国などでも制度化されていますし、ハーグの国際刑事裁判所でもリアルタイム速記が活用されています。
A 日本では、速記官の養成停止策が示されるのと相前後して、多くの裁判所速記官が知恵と力を結集して、リアルタイム速記システムを開発・改善してきました。同システムは速記録の迅速な作成に大きく寄与しています。
 現状では約95%の裁判所速記官がコンピュータ内蔵の米国製電子速記タイプライターを自費で購入し公務の効率化を図っています。本来であれば、最高裁が国の予算で確保しなければいけない効率機器について、自費で購入させるなどの負担を裁判所速記官に強いています。

4 裁判記録のあるべき姿
   民事、刑事はじめ、自己の権利の実現や権利擁護、事件・事故の真実解明や刑罰権の的確な行使、あるいは親族・相続など多くの事件について裁判所での解決が求められています。当事者が訴訟準備を十分に行い、公正・迅速な裁判を実現することは憲法上の要請です。そのためには、公正で客観的かつ迅速な裁判記録の作成が不可欠です。世界基準となっているリアルタイム速記システムについても、裁判所速記官の増員や機器の確保など態勢が整備されれば日本でも実現可能となっています。

5 速記官養成再開を求める動き
  最高裁に対しては、これまでも日本弁護士連合会はじめ単位弁護士会(東京、埼玉、静岡、栃木、大阪、和歌山、兵庫、奈良、大分、宮崎)や市民団体から養成停止に反対し養成再開を求める意見書や声明が出されています。国会でも毎年のように法務委員会で審議されるなどしてきましたが、最高裁は養成再開に応じていません。

6 さいごに
 公正・迅速な裁判を受ける権利の保障は、憲法上の要請です。裁判所法上も、
  口頭主義・弁論主義を原則とする公判廷での供述記録は、速記録であることが基本とされています。そのため法60条の2にも裁判所速記官制度が設けられています。最高裁が、裁判所法を無視して一方的に速記官制度を事実上廃止することは許されません。
   裁判所から速記官がいなくなれば、迅速に作成される公正・客観的な記録なしに審理・評議・判断することになります。近時の冤罪・再審事件をみても、公正で客観的な供述記録の作成が不可欠なことは明白です。
 日本弁護士連合会および各単位弁護士会におかれましては、法廷等での供述記録(速記録)作成の規則化や速記官の執務環境の整備(電子速記タイプライターの官支給等)などを最高裁や貴会と対応する裁判所に要請してください。     以 上
添 付 資 料

@ 日弁連・単位弁護士会の声明・意見等(まとめ)
A 弁護士アンケート
B 全国速記官配置図(2013年4月現在)
C 衆議院・参議院法務委員会の各附帯決議
D 日本共産党・井上哲士議員の質問(2012年3月28日法務委員会)
E 速記官制度を守る会ニュース

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2013年08月21日

少なくなった速記官ですが、頑張り度は高いですよ〜

いつまで続くかこの残暑!ですね。皆さまにも私にも、お見舞いです。十分注意して乗り切りましょう。

その上、ゲリラ豪雨によって多大な被害を受けられた地域の皆さま、心よりお見舞い申し上げます。
いずれも自然現象とはいえ、地球上をおおう異常事態は年々激しさを増しているようで恐ろしい。


これとは反対に、速記官の減少は全くの人為的な、最高裁が決めた養成停止によるもので、最大時825人いた速記官は、今や208人になってしまったこと、今まで何度もブログ子は嘆いてきました。

825人だって決して多かったわけではありません。速記官制度を導入した当初は約2000人を構想していたことから考えると、半分も満たしていないのです。まだまだ制度としては途上にあったのに、道半ばにして・・と言わざるを得ません。


現在の208人というのは、最大時の約4分の1となりますが、そんな中でも全国の速記官は頑張っています。
速記官がいるのは47庁ですが、そのうち35庁で裁判員裁判に立ち会っているということですから頑張り度は高いです。連日的に行われる裁判員裁判のすべてに立ち会うことは難しいこともあるでしょうが、この証人、この被告人にはぜひ速記官を、という要望に応えて、速記官としての役割を果たした貴重な一件、一件の立ち会いを積み重ねた結果だろうと受け取りました。わーい(嬉しい顔)


また、最近は一審重視の傾向が強まっているのか、速記官の高裁配置をゼロにして、地裁へ配置換えをしている例をよく聞くようになりました。それでも、高裁で「どうしても速記官の立ち会いを」という要請があれば応えているというのですから、ここでも頑張っていますね。わーい(嬉しい顔)


話はまた変わりますが、平成28年から、裁判所は新しいOSに切り替わるとのことです。ほとんどの速記官が利用している「はやとくん」プログラム(即時に漢字仮名混じり文に変換する)は最高裁が配布しているものではありませんが、これらの頑張りを支えている素です。
このプログラムも新OSへの切り替え時に仲間外れされぬよう、今から神様、仏様、最高裁様にお願いを。ぴかぴか(新しい)


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