2015年04月19日

花子さんへ

花子さん
あなたを失って早や2か月余りが経ちました。
寂しさが募ります。

ブログ担当に加わりながら、なかなか記事を書けずにいました。
大切な友人から「更新もせずに、何をしているのか」とのメールをいただきました。
あなたに代わって、不甲斐なさを叱ってくれたのだと思います。
これからは、速記官制度を守る会のブログを新たに始めるつもりで、努力しようと思います。

この間、報告しなければならないことがいくつかありました。
遅れてしまいましたが、簡潔に報告させていただきます。
(詳細は、次回の守る会ニュースをご参照ください。)

第1に、速記官制度を守る会第18回総会報告です。

2月28日(土)、速記官制度を守る会第18回総会が、全労連会館で開催されました。
鶴見会長の開会あいさつの後、第1部として、今村核弁護士の講演を受けました。
今村弁護士は、「弁護士から見た『正確な記録』作成の重要性」と題して、三鷹バス痴漢冤罪事件で無罪を勝ち取るなど、自身の裁判の体験から記録の大切さを強調しました。
家庭内暴力致死事件では、「便宜供与」と称するDVDについて、主任書記官から「はっきり言って精度は悪いですよ」と言われたこと、時間がなくDVDを見ている余裕がなかったため、記憶だけを頼りに徹夜で弁論要旨を作成したことなどが話されました。
ジェローム・フランクの「無罪」を紹介しながら、速記録がなければ「客観的・分析的判断手法」ではなく、「直観的・印象的判断手法」に著しく傾かざるを得ないと指摘されました。

第2部として、守る会の総会を開きました。
総会の冒頭、花子さんを悼み、全員で黙とうしました。
また、寄せられたメッセージ(民主党郡和子議員、日本共産党清水忠史議員、同畑野君枝議員、同仁比聡平議員)の紹介がありました。
次いで、この1年間の活動報告、会計報告及び活動方針案、幹事候補者の提案がなされ、質疑の後、報告・提案が承認されて、今後1年間の方針が確立されました。
総会後、恒例の懇親会で多いに盛り上がりました。

第2は、衆議院法務委員会で速記官制度問題が質疑されたことです。

4月7日(火)の衆議院法務委員会で、清水忠史議員が、速記官制度問題について質問をしました。
清水議員は、速記官制度の停止決定から17年以上になるのに、年数が経つにつれ速記官の養成再開を求める声が強まっていること、この1年間、滋賀、京都、釧路の弁護士会、近畿、関東の弁護士連合会から速記官の養成再開や速記官の活用を求める声明等が発出されていることを紹介し、音声認識システムの実用化が難しく、多額の予算をかけながら実用化していないこと、音声認識システムや録音反訳による調書作成では、記録の正確性、客観性、迅速性で問題があることなどを指摘しました。

また、質疑の中で、産経新聞の「速記官カムバック」との記事(2014年3月31日付)や速記官制度を守る会の新しいリーフレット「裁判所速記官をご存じですか?」、また録音反訳予算や反訳時間の各年度の推移表などを参考資料として示しながら最高裁に迫りました。
とりわけ、速記官は、供述者のジェスチャーを取ることもできるとする質問では、委員会全体の関心を引き付けるなど、道理と迫力のある質問でした。

最高裁の回答は、今回も従来回答を繰り返しただけのものでした。
しかし今回改めて、速記録に対しては「裁判官といえども、その内容の変更を命じることができないということは実務に定着している」と回答し、
「音声認識システムの技術が発展すれば録音反訳方式にかわり得る方式になり」「音声認識システムの認識率が録音反訳でそのまま使えるようになると期待を持った」が、「その期待に達していない」と認めたこと、
2004年の裁判所法改正に際しての衆参両法務委員会の附帯決議について「これまでも、これからも尊重していく」と回答させたこと、
速記官が最も不安に思っていることは「後輩が養成されないこと」と「速記タイプについて新しい外国のものを公費で買ってくれというような希望があるということは承知している」と最高裁の認識を明らかにさせたことは大切です。
清水議員は、最後に、上川法務大臣に裁判所速記官の役割の重要性についての理解をただし、法務大臣は「改めて、裁判所速記官が迅速かつ公正な裁判の実現に関し重要な職務を担っていることを承知した」と回答しました。

清水議員は、滋賀弁護士会の元裁判官が「時代はまだまだ速記を必要としているようだ。裁判所速記官の養成停止は余りにももったいない政策の誤り」との発言を紹介し、最高裁判所裁判官会議での決定にいつまでも固執することなく、速記官の養成を再開すべきだと指摘して質問を終えました。

今回の質疑は、質問内容がよく工夫されていて、速記録の必要性・重要性を明確にするとともに、最高裁には必要な回答以外はさせませんでした。
今回の国会質問は、これからの守る会運動にとっても画期的なものとなりましたし、全司法労働組合や電子速記研究会、速記同窓会などにとっても、交渉や折衝等で大いに役立つものとなることと思います。

今回の質問の大きな柱となったのは、多くの弁護士会の会長声明や近畿・関東の弁護士会連合会から理事長声明が出されたことです。
ここ2・3年の間に近畿の6弁護士会と近畿弁護士会連合会の声明等があったこともあって、宮崎、秋田、釧路弁護士会など全国的にも取り組みが広がりました。さらには、最大規模の弁護士会を擁する関東弁護士会連合会からも理事長声明が出されたことは大きな力となりました。

こうした弁護士会・弁護士会連合会からの声明等が出されるについて、花子さんの努力があったことを決して忘れることができません。
今回の成果は、清水議員の力によるところが大きいのですが、その基礎となった弁護士会等の会長声明・理事長声明は、花子さんの尽力の賜物といっても過言ではないと思います。
(質疑の映像や議事録は、衆議院のホームページで見ることができます。ぜひご覧ください。)

第3に、花子さんを偲ぶ会のことです。

6月20日のJ−ネットの集会後、花子さんを偲ぶ会が予定されています。
花子さんが力を注いでいたことの一つに、J−ネットファンクラブの取り組みがありました。
J−ネットは裁判官中心の集まりですが、ファンクラブは、その応援をしようというものです。ファンクラブの事務局を担ってきた花子さんの存在は、J−ネットの活動にも大いに寄与していたと思っています。

また、速記官制度を守る会大阪支部でも、花子さんを偲ぶ会や追悼文集の企画があるとのこと。
6月始め頃には、詳細がまとまるそうです。

花子さん。
多くの人から、頼りにされ、親しまれたあなたの存在の大きさを、いま改めて思っています。
花子さんが努力し、書き続けてくれたブログを引き継ぐことは、とても荷の重いことのように思えます。
しかし、あなたが続けてくれたことが、守る会の取り組みの大きな力になったことを思うと、私なりに関わっていくことの責任の重さを感じています。
そして、一日も早く、速記官の養成再開を花子さんに報告できるよう頑張りたいと思います。
(太郎)




posted by sokkikan at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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