2014年12月22日

裁判員経験者に聞きました。

最近、何人かの裁判員経験者の話を聞く機会がありました。
11月23日、裁判員ネットの第11回裁判員制度フォーラム「市民から見た裁判員裁判」。
12月13日、専修大学法社会学ゼミナール主催の「裁判員ラウンジ」。
12月14日、陪審裁判を考える会の「例会」。
です。

裁判員ネットは、裁判員裁判を傍聴して、自主的な評議・評決をしたり、裁判員制度を調査・検討し、改善の提言などを行っています。主に大学生を中心に、裁判員経験者、弁護士、市民も参加するなど、活発で幅広い活動をしています。今回のフォーラムでも、市民モニターが傍聴した裁判員裁判を中心にした調査報告などを受けて、裁判員の負担や制度の問題点などについて意見交換がなされました。

裁判員ラウンジは、「誰でも参加できる裁判員経験者や弁護士との語らいのスペース」として、裁判員制度の概要説明と裁判員経験者の体験談を受けて、質疑・懇談が持たれました。裁判員裁判の勉強をしている大学生からは、裁判員に選出されてどのような感じを持ったか。裁判員を経験して、その後何か変わったことがあったか。裁判員制度は今後どうあるべきかなどの質問が出され、ここでも活発な意見交換がされています。

陪審裁判を考える会は、太平洋戦争前からあった陪審裁判(現在停止中)を復活させ、司法への市民参加を実現することを目指している会です。今回の例会では、現在実施されている裁判員裁判の実態を追いながら、陪審制度に学ぶ必要があるのではないかとしています。例会では、「上級審で量刑を変更する是非について」とする報告を受けて、裁判員経験者から「裁判員経験者として考える裁判員に課せられた過剰な負担」と題する報告があり、熱心な討議がされました。

私は、それぞれの集会で、裁判員経験者に次のような質問をしました。
@、証人や被告人本人の法廷での供述について、後で「証人(ないし被告人)の証言について、あのときどのような証言だったか、確認したい」と思ったことはありませんでしたか。
A、あったとすれば、どのようにして確認しましたか。

回答してくれた裁判員は、全員、実際「あれなんだったっけ」と思うことがあったと答えてくれました。
そして、裁判員同士、皆で「ああ言っていたよね。」とか「こうだったよね。」、「こうだったんじゃない」と話し合って確認したとのことでした。また、他の裁判員から「ノートにはこうなっていた。」と言われて、「そうだったね。」ということになったという人もいました。
裁判官とも話して「こうだった。」と確認したという人は一人だけでした。
音声認識システムについて、システムがあることの説明を受けたという人もいましたが、録音・録画で確認した例はありませんでした。

従前から、守る会が指摘してきたように、裁判員は、証言の確認をしたいと思うことがあるが、事実上、その確認方法がないということが改めて示されたと言っても良いと思います。実態は、他の裁判員ないし裁判官の「メモか記憶」に頼っているということで、これでは公判廷での供述証拠が不正確なままで裁判をしているおそれがあり、公正な裁判の実現の上で極めて大きな問題をはらんでいると思います。

裁判員経験者の数は数人でしたから、これだけで断定することはできませんが、
◎ 録音・録画での確認は一覧性がなく、実際には大変使い勝手が悪く、役立っていない。
◎ 他の裁判員(ないし裁判官)の主観的な「メモか記憶」が、裁判員の事実認定と量刑判断の基礎資料の一つになっている。
ということが言えるかと思います。

私の方から、裁判所速記官にはリアルタイム速記による速記録作成の技術があることを説明しました。
経験者は皆、「速記録があれば確認したかった。」「速記録があれば、証人の様子や証言内容にもっと集中できたのに。」と裁判員当時の思いを話してくれました。また、ある経験者は「裁判員として一生けん命努めたし、充分な評議をしたと思っているが、記憶の不明な点の確認方法については、確かに問題だと思う。」と感想を述べてくれたことが印象的でした。

今でも、裁判員裁判への速記官立会いは、まったく不十分です。中には、速記官の立会ができない裁判所さえあります。
速記官の裁判員裁判への立会が実現できるよう、養成再開や電子速記タイプの官支給など条件整備が急務だと、改めて思いました。
(太郎)









posted by sokkikan at 00:49| Comment(3) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
太郎様
貴重なレポートありがとうございました。ぜひニュースにも掲載し、広めてほしい情報です。
Posted by 花子 at 2014年12月23日 09:12
太郎さん、詳細な情報をありがとうございました。今後もいろいろな情報をお待ちしております。

花子さん、お久しぶりです。
最近、6ヶ月健診の赤ちゃんへの読み聞かせボランティアを始めました。勤務中は、殺伐とした言葉を速記していたので、赤ちゃんの笑顔でほっこりとした時間を楽しんでます。
Posted by ミロ at 2014年12月27日 15:59
ミロさん、ユニークなこと始められたのですね。赤ちゃんも楽しいでしょうが、赤ちゃんの笑顔に出会えるミロさんがもっと楽しいかもしれませんね。この間、鳥取市の「わらべ館」に行ってきました。いろんな年代のおもちゃが充実していて、なごみました。
Posted by 花子 at 2014年12月28日 09:22
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