2013年10月23日

「法言語学に見る速記者・速記官」守る会ニュースbR9から 

最新の本部ニュースbR9に、守る会 幹事 丸山 竜一さんの投稿記事が掲載されました。
ぜひ多くの方にお読みいただきたく、ブログに転載します。この稿は次号に続きます。
末尾にありますように、情報・ご意見をぜひお寄せください。写真は著書の一部です。
  
近年、法言語学に関する著書が相次いで出されており、これらの中に速記者・速記官が登場していますので、その内容について紹介しながら感想を述べてみます。
■5点の著書
  それは、
  ・『法言語学入門−司法制度におけることば』(ギボンズ著、東京外国語大学出版会、以下『入門』と略記)
  ・『法と言語−法言語学へのいざない』(橋内武、堀田秀吾編著、くろしお出版、以下『いざない』)
  ・『法廷はことばの教室や!−傍聴センセイ裁判録』(札埜和男著、大修館書店、以下、『教室』)
  ・『月刊言語2009年9月号−裁判ことばの言語学』(以下、『月刊言語』)
  ・『ことばの力学−応用言語学への招待』(白井恭弘著、岩波新書、以下、『力学』)
  の5点です。

■法廷における関係者として

  私が今回法言語学について紹介しようと考えたきっかけは、『入門』の「コモン・ロー法廷における関係者」の章で、裁判官、弁護士と続く節に「法廷における他の職員」があり、ここに「廷吏、速記者、書記官として働く職員がいる」と記されていたからでした。裁判官ほどに職員の説明があるわけではないのですが、別の章では、警察における「速記の訓練を受けた者の必要性」を述べています。
  もう一つ感心したのは、この著書の翻訳者が、stenographersを速記者と訳しており、索引にも載せているという観点です。ギボンズ氏については、1946年イギリス生まれ、1983年から2006年までシドニー大学言語学科で教鞭をとり、2003年から2005年まで国際法言語学会長をつとめる、と記されています。
  私は、表題を速記者・速記官としました。世界の法廷に速記者は確かにいるのですが、それが派遣された速記者なのか、裁判所に勤める速記官なのかは定かではありません。しかし、そうした些細な問題より、それらの法廷で速記をする職員を、世界的に見て、ギボンズ氏がstenographers・速記者と位置づけた意味は大きいと考えるものです。なぜなら、これが日本の法言語学会でも速記官を取り上げる一因になっているとも思えるからです。

■法廷速記者のいる国
  さて、その法廷速記者のいる国は具体的どこかというと,私の確認したところでは、アメリカ、フィンランド、ブラジル、韓国、イタリア、カナダ、イギリス、インド、アイルランドの9か国です。確認はできていないのですが、ギボンズ氏の国、オーストラリアも入れてもよいと考えます。
  ところで、アメリカ・フィンランド・ブラジルについては『世界の裁判員−14カ国イラスト法廷ガイド』(神谷説子・澤康臣著、日本評論社)に速記者が出ておりました。この著書、世界の裁判員事情がよくわかる、その取材力にも感心する優れたルポルタージュです。しかし、この14カ国の最後の章「日本」が画竜点睛を欠くものになっており残念です。そこには「さいたま地裁・・・、“裁判員時代の裁判所”だ。裁判員待合室には説明ビデオが上映される大型モニターがある。評議室にもモニターがあり、法廷のやりとりを音声認識装置で直ちに文章に変換して見直すことができる。」と記されています。この「誤報」、裁判所の広報に問題があるのかどうなのか、著者の取材元を知りたいところです。

■速記官

  話を日本にもどしますと、『いざない』『教室』『月刊言語』に速記官が紹介されています。
  『いざない』には、「裁判と方言(地域語)」の節で速記官が登場しますが、この執筆者札埜氏は、後の章「法言語教育」でも書いている高校の国語の先生で、著者紹介には、明治大学:法と言語科学研究所客員研究員と記されています。
  『教室』では、速記官について、「話し言葉は、はかないものです−速記官の果たす大きな役割」の章で、10ページ8節にわたり、「速記官の受難」にもふれながら「言語文化としての速記」など、詳しく論じられています。これらは、「守る会」の運動にとってもおおいに力を与えてくれる内容になっています。
(次号に続く)
法言語学入門.jpg 法廷は.jpg 法と言語.jpg
 
※法廷に速記者のいる国について何らかの情報をお持ち方は、ぜひ、このブログにコメントを付けてくださるなどにて「守る会」にお寄せください。




posted by sokkikan at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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