その第17回会議(13年3月15日)に「取りまとめ報告書(案)」が出されていました。
http://www.moj.go.jp/content/000109144.pdf
17回にも及ぶ検討会の内容を網羅するもので、裁判員裁判を行ってきた上での問題点の数々とともに、この間起きた東日本大震災という大惨事と裁判員裁判という論点も議論されています。
しかし、私たちが主張している裁判員裁判にも速記官がきちんと立ち会って、正確な記録を作成し、それに基づいて評議を行うことが、裁判を受ける被告人にとってはもちろんのこと、市民裁判官として参加する裁判員にとっても、自信をもって職業裁判官と評議を行うことを保証する手だてとなる、という指摘は議論された跡が残念ながら見当たりませんでした。
普通の市民が、一生に一度あるかないか裁判員となって重大な刑事事件の判断を職業裁判官と共に下さなければならないのに、記憶があいまいなときは、音声認識したデータを検索してとなっていますが、その認識度が低ければ役にたちません。またその検索作業が手間取るようで、評議を中断して裁判官にその作業を申し出るのは、裁判員にとってかなりなプレッシャーではないでしょうか。
そして、この音声認識システムの精度がどの程度であるか、当該裁判を担当した裁判官と裁判員、検察官と弁護人にしか分からないというのが実情で、第三者には全く分からないのです。
そういう意味では、この「検討会」委員各位にとっても同じことが言えるのかもしれません。
ここは最高裁自らが、裁判所だけでしか分からないこの問題を検討して、全国の法廷における音声認識システムの認識精度、過誤の実情など実態を明らかにし、3年後の見直しに活かしていただきたいものです。