2012年12月13日

「米国コートリポーター制度の現状について」Part 2

守る会大阪支部では12月11日、昨年に続き米国スタンフォード大准教授の井上美弥子氏にお越し頂き勉強会を計画しました。
残念ながら井上氏は学会の都合で来日することが出来なくなり、急遽、レポートを代読する形となってしまいましたが、速記官制度に関心を寄せる弁護士や裁判所書記官の参加があり、2部の懇親会まで大いに語り、盛り上がる会となりました。

井上氏のレポートはパワーポイントも用意されて、参加者の理解の助けとなりました。
興味深い点をごくごくかいつまんで紹介しますと、

米国の連邦労働統計局が出しているコートリポーター(以下−速記者)という職種は、最新の2010年統計で2万1500人ですが、10年後の見通しとして14%増になるだろうと予測していて、将来性が極めてよい「エクセレント」という形容詞を使っているとのことです。ぴかぴか(新しい)
実際に速記者に話を聞くと、この統計と現実には差はあるとのことで、裁判所関係の仕事は減っているけれど、文字放送のような分野に進出しているのが原因ではないかと思われるとのことです。

次に年俸を紹介されました。米国での速記者の雇用形態は幅広いので一概には言えませんが、米国の州裁判所で働く速記者と日本の速記官はほぼ同程度かと。米国では反訳を依頼されると1枚何ドルかの料金で行い、それは速記者の収入になる(その仕事は勤務時間外で行う)とのことで、簡単に比較はできないように感じました。


次に速記者団体の紹介がありました。最も中心的な役割を果たしているのが全米速記者団体=NCRAで、速記者の認定試験から職域拡大、ロビイスト活動などと幅広く行っているとのことです。


最後にコネチカット州の司法府が2010年に出した報告書について紹介されました。
この報告書が興味深いのはアンケートを他の州に送って情報を得ようとしたことで=米国は州の独立性が強く他の州のことは気にしない=こうした横並びの資料は貴重だということですが、ここでは、今どの州の裁判所でも問題になっていることを特に紹介します。

それは録音録画を法廷記録として認めるかという問題に関してで、25州のうち9州と連邦裁判所が速記者を法廷に復活させたことが紹介されました。グッド(上向き矢印)

具体例としてフロリダの例は、フロリダでは速記者の数が不足しているということで録音録画を入れているが、ある裁判で、弁護士とクライアントの会話をマイクが拾ってしまい、弁護士とクライアントの会話は開示しなくていいという特権が侵害されたことになり、裁判はやり直しで、その費用はすべて州が負担したという例。

カナダのオンタリオ州の例として、録音録画に移行すべく3つの郡で実験をしたところ、ある裁判官が反訳書100ページ中に15カ所のエラーを見つけて、録音録画への完全移行を見直すきっかけになっているとの紹介もありました。


このような米国の状況から考えさせられることとして1点挙げられ、録音録画に完全移行することで、速記者の市場が自由競争になり、裁判を受ける側の貧富の差がそのまま反映することになるのではないか。録音録画はいずれ読むために文字にしなければならず、これがそのまま当事者の負担となることが危惧されると結ばれました。


「守る会」の今後の運動にも多くの示唆を与えてくださったレポートでした。お忙しいなか、ご準備いただきました井上氏に改めて感謝しますとともに、またお越し頂ける機会を楽しみにしています。


続いての懇親会には、初めて参加いただいた方も多く、いつもの総会とはひと味違う交流ができました。

初参加のベテラン弁護士は、いつもこの会のことは気になって応援している、かつて専門的な難しい事件も全部速記録で対応された、この制度は残したい。


京都から参加の弁護士は、守る会本部から弁護士会あてに要請があり、その検討のための準備として参加した。裁判所の予算を増やす運動もしたい。


若手書記官(複数)からは、速記官とは法廷で会うだけの関係から生じる笑い話のような誤解やら、速くて正確な速記録に対する高い評価と、結局、速記官問題は書記官問題でもあるんだとの認識が披露されました。ひらめき

神戸・大津の速記官からは職場のこと、更に、新しい速記官の養成のあり方私案の提唱がされました。


あと既に退職された先輩速記官からも熱いエールをいただきました。


大阪支部顧問である石松弁護士は、ご自身の長い刑事裁判の経験に触れ、速記官制度は決してなくしてはならない制度であるとの確固たる信念を語られ、参加者を励まされました。

とてもとても、この懇親会の模様をブログで再現する能力がありませんが、その雰囲気の一端なりとも感じてくだされば、花子はうれしいです。
               



posted by sokkikan at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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