2010年11月08日

「第3回国際ユニヴァーサルデザイン会議in浜松」その2

 会議3日目、11月1日午後のパネルディスカッション「裁判のUD」の発言内容について、もう少し詳しく紹介します。
パネラーは前に紹介した3氏、コーディネーターは蔦谷邦夫氏(IAUD情報交流センターディレクター/富士通デザイン株式会社)でした。

まず安原弁護士が最初に発言。
安原氏1.jpg この会議テーマUDというものが幅広いものだということ、参加してみてびっくりしていると率直に感想を述べた上で、元裁判官として「裁判官の一日は社会との接点はない」と裁判官の日常生活を披露。
 裁判とは何のために行われているのか、という点からも市民と共に行う裁判員制度の導入には積極的にかかわってきたこと、現時点で裁判員裁判は2300件起訴され、うち1000件判決があったと紹介。
 市民が参加する裁判員制度にとって、例えばスロープ設置などの物的なものは整ってきているが、様々な障害を持つ人が証言する、裁判員に参加するとなるとお寒い状況にあると言える。裁判所の中でのUDの認識度は低い。
この間、裁判員候補者は7万8000人にのぼったが、内4万人が辞退し、その内6000人が疾病や障害によるとなっている。最高裁は「難しいでしょう」「無理でしょう」という消極的な姿勢。障害を持つ人の裁判への参加について、ぜひ公の場で議論をしていきたい希望している。

続いて布施速記官が発言。
布施さん2.jpg 布施さんは自己紹介の後、裁判所速記官制度が養成停止になった経過と現状を説明。
 速記官数は減少しているが、自主的に「はやとくん」というリアルタイム速記で裁判の逐語記録を正確に速く提供できていることや、昨日までの字幕表示に参加できるところまで技術が高まっていることを説明。
 一方、裁判員裁判が始まっているのに速記録が十分活用がされない状況になっていること。裁判員裁判ではDVDと音声認識によるインデックスで対応することになっているが、「評議の秘密」が壁となり、それが実用に堪えられるものか、活用されているのかすら分からない。
聴覚障害者が裁判員になった場合、磁気ループ、手話、要約筆記が用意されるが、研修などは自主的なものに頼っている。
当事者に聴覚障害があった例としては神戸地裁で民間速記者による「はやとくん」でリアルタイム字幕が行われたことがあるが、他でこのような情報保障がないのが一般的。
アメリカには文字通訳(CART=カート)という職業があり当事者に必要な情報を提供し評議にも入るという、速記技術が通訳と記録の二分野で活用されている。
今すぐにでもできる「裁判のUD」として強調したいこと、発言は大きな声で適度なスピード、業界用語の多用は避ける。音声は流れて消えてゆく、それを文字に定着させ補完することがUDだと考える。その場にいない控訴審での検討、また歴史的な検証を可能にする正確な速記録は「裁判のUD」の一つだと考え、ぜひ活用をお願いしたい。

次に山根主婦連合会会長が発言。
主婦連会長.jpg 主婦連の8代目会長に当たると自己紹介。
 主婦連は消費者団体として、司法制度改革審議会当時より議論に積極的に参加し、その中の裁判員制度導入についての経過について紹介。現在、発足後3年の「見直し検討会」の委員を務めている。
 そのようなことから東京地裁で行われる裁判員裁判は時々傍聴に行っている。今、話のあった速記官は裁判員裁判に立ち会っていたりいなかったりするので、法務省にその基準は何かと聞くと「すぐに記録が要るときは速記官を入れている」ということだった。
「見直し検討会」は今まで3回開かれ、11月に4回目が開かれる。今後、複雑困難な事件がかかる。「いいスタートを切った」と喜んでばかりはいられない。UDテーマもしっかりと検証していく必要がある。


と、それぞれの立場から述べられました。

蔦谷氏は、聴覚障害者の声を紹介したいとして、障害者と言っても多様、手話を第一にしている人は文字情報でOKとはいかない。一人一人違う。全国で同じサービスがされているのか、ということもある。手話通訳に入札制度はなじまないのではないかという意見も。
裁判員制度そのものが裁判のUD制度であるということは言えるし、「裁判のUD」のことを考えるきっかけになればよいと述べ、ディスカッションは終了しました。



posted by sokkikan at 06:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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