2009年01月27日

「メモ取らず審理集中を」と、最高裁が裁判員へ呼び掛け

最高裁が裁判員制度において、裁判員がメモに集中している実態を踏まえて、次のような見解を発表したと時事通信で報じられました。

「メモ取らず審理集中を」=裁判員へ呼び掛けー意識分散を懸念・最高裁
2009年01月25日

 5月から始まる裁判員制度で、最高裁は25日までに、証拠調べの内容をメモに取らずに審理に集中するよう、裁判員へ呼び掛ける必要があるとした報告書を取りまとめた。メモに集中するあまり、法廷でのやりとりに意識が向かわず、心証形成がおろそかになる事態を避ける狙い。全国の裁判官の参考資料として使われる。
 裁判員が法廷でメモを取ることは自由だが、最高裁は有罪、無罪や量刑を決める評議の場では、法廷で撮影した録画を再生することで、裁判員の記憶を補うことにしている。
 報告書は、これまでに全国で行われた模擬裁判で、裁判員役がメモに集中している姿が多く見られたと指摘。裁判官3人と裁判員6人の全員が下を向いてメモを取っていた事例も挙げ、「『目で見て耳で聞く審理』の裁判員裁判では、正常な事態とはいえない」とした。
 このため、裁判官が裁判員に対して、「メモを取らなくても分かるような審理が行われるし、完全に覚えられなくても録画で確認できる」と事前に説明した上で、できる限り目の前の証拠調べへの集中を促すべきだとした。 
 また、裁判員が取ったメモや配布された資料については、事件関係者のプライバシー情報などが含まれる可能性があり、紛失により流出する恐れを指摘し、「持ち帰りについては慎重になるべきだ」との見解を示した。
 その上で、長期審理が必要な事件では、証言のポイントを確認する意見交
換を合間に行うなど、記憶保持のための工夫を求めた。(了) [時事通信社]

リンク http://news.toremaga.com/nation/nnews/176272.html

だから言ったじゃないの、というフレーズが思わず出ました。
弁護士会主催などの模擬裁判を傍聴しても、裁判員は「メモを取ることが仕事」みたいにやっぱりなってしまってますもの。(当然、花子だってそうなるでしょう。)
裁判所の模擬裁判なら、裁判官のうち、左陪席がメモ担当となっているようですから、その裁判官がカリカリとメモをしていれば、裁判員もやっぱりメモに走ってしまうのは無理からぬことですよ。(花子裁判員なら、負けじとステンチュラで速記してしまうかもしれない。)
最高裁は「法廷で撮影した録画を再生することで、裁判員の記憶を補う」としているようですが、まだ、その検索機能だって十分とは言えないということは先に紹介したとおりです。

「評議には速記録ができてますからメモを取らなくても安心してください。」
「更に録画の再生でも確認できますから、安心して審理に集中してください。」
と最高裁が呼びかければ、裁判員も裁判官も安心して審理に集中できるわけですね。
抽象的な「メモを取らなくても分かるような審理が行われるし、」では市民には届かないでしょう。
具体的で確実な呼びかけを市民は待っています。


posted by sokkikan at 20:12| Comment(3) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
杞憂かもしれませんが、聴覚障害者に対する筆記通訳によからぬ影響が出てくる予感がします。それに、録画を多用するというのでは、また視聴覚障害者への情報保障が心配になります。
Posted by jsds001 at 2009年01月28日 09:31
本当ですね、杞憂ですめばいいのですが。
日本社会全体がバリアフリーの基盤構造が遅れている上に、裁判員制度という市民参加をうたっている制度発足を機会に、バリアフリーをぐんと進めるんだという気概、今の最高裁はじめ法曹全体から感じることはできません。ということは、人ごとではなく私自身の問題でもあるということです。
Posted by 花子 at 2009年01月29日 19:13
この最高裁の「報告書」はどうすれば見られるのかと思います。先日「模擬裁判の成果と課題」という報告書も最高裁は出していますが、これも公表していません。中味には要約筆記の「ヨ」の字も出ていないということです。「聴覚障害者には手話通訳と要約筆記で対応する」と、言っていたはずですが。要約筆記でなく電子速記にしたからだ、というのならうれしいのですが、そういうことも書いてないようで、一方では「連日でも自分一人でやれる」という手話通訳の発言(暴言?)を、きっちり(注)に採用しているそうです。裁判官用の文書らしいですが、こういった「現場の発言」(??)で無知な裁判官を謝らせるのは困ります。
Posted by jsds001 at 2009年01月30日 11:29
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