2008年11月17日

「速記録問題ミニシンポ」報告(大要)

mini.JPG 11月15日、「速記官制度を守る会」主催のミニシンポが都内において開催されました。
 速記録ユーザーの立場から、日弁連副会長、埼玉弁護士会、弁護士、国民救援会、聴覚障害者の方々の参加をいただきました。
 提供者としては全司法本部、速記部同窓会、電子速記研究会からそれぞれ複数の参加をいただきました。

 主催者を代表して鶴見会長は、速記官の養成停止を受けて「守る会」を立ち上げた思いを振り返り、戦後の司法の民主化の歩みを後退させてはならない、公判をセレモニーとさせてはならない、記録が残らない裁判−それは裁判の名に値しないと、具体的に関わった裁判を引いて挨拶をしました。

 議論に先立ち事務局から、養成停止から10年経過し速記官は3分の1となったが、なぜ最高裁の思惑通りゼロにならなかったか。それは速記録に対するユーザーからの信頼と電子速記「はやとくん」の開発で自信と誇りを得ていること、速記官を取りまく運動の存在、音声認識の破綻などが挙げられる。そして目前に迫った裁判員制度で、最高裁の言う「速記録は不要だが控訴審用の速記録は必要」という矛盾が明らかになった今、このシンポを共同行動を作り出す第一歩としたいと提起しました。

 日弁連副会長は、速記録の重要性についての認識は持っているが、日弁連として2001年に「速記官の養成再開」を求める要望書を出して以来、動けていないのが実情。今動くとすれば、裁判員制度に参加する障害者のための情報保障としての有用性を強調していく考えを持っているが、他方、正面から養成再開を主張すべき、あるいは障害者の政治的利用では、などの意見も多々あり、宙に浮いていると率直に発言されました。

 これを受けて「はやとくん」によるリアルタイム字幕で発言内容を確認しながら参加の聴覚障害者の方から、模擬裁判は手話で行われていた、しかし手話を理解できる者は約2割である、他は排除されるのか。要約筆記も中身が確かめられずに言葉が一人歩きしているように思われる。姑息と言われようと情報保障の道が開けるのだとの度量を示してもいいのではないかと発言されました。

 埼玉弁護士会では1996年以来、会内に「速記録問題対策委員会」を立ち上げ活動を進めている経緯が報告されました。直近では「裁判員制度を成功させるための決議」(平成20年3月27日)の中に「速記官の養成再開」が掲げられています。しかし裁判員制度はペーパーレスだとする最高裁の方針が大きな壁になっている。また弁護士の中に速記録を知らない層が増えていることも運動を困難にしている。各地の単位弁護士会から次々と意見書が上がる状況を作り出さなければならないのではないかと発言されました。栃木弁護士会でも意見書が出されたとの紹介がありました。こちらです。
 
http://www.tochiben.com/topics/news28.html

 国民救援会からは、速記録は重要という認識でずっと運動を続けている、更に広げていかなければならない思いを参加して強くした。また最高裁は裁判員制度に視覚障害者が参加する道を開いていないのでないか。12/8に院内集会を予定していると発言されました。

 全司法からは速記官数は減少したが、今後の減少は緩やかになる見込みである。裁判員制度への立ち会いも排除されないということであり、今後は速記タイプ・ステンチュラの官支給を実現させていきたい。家裁調査官の仕事が裁判員制度との関連で、少年の調査記録について要領よく簡単・迅速が求められ、更に不要という動きも危惧される状況が報告されました。

 電子速記研究会からは、弱小な速記官の集まりだが少しずつ「はやとくん」やステンチュラが使える道を開いてきた。天下の日弁連には更に頑張っていただきたい。今、模擬裁判を見ていると、検察官は事務官を立ち会いさせ記録を取らせている、また壇上では左陪席が必死にメモを取っている、こんな時代に後退させてよいのかと発言されました。また、最高裁はIBMが音声認識の研究を開始したときに、これで調書を作ると宣伝した、それが失敗したとたんペーパーレスに方向転換したという経過があると指摘しました。

 守る会大阪支部からは、今、大阪弁護士会において速記官の養成再開などを求める要請書を出す方向で検討中と聞いている。この動きを近畿の各弁護士会に広めていきたいとの発言がありました。

 速記部同窓会からは、模擬裁判の現場から見ていると、ペーパーレスではやれない状況が生まれている。例えば、鑑定書そのものは裁判員には見せず、裁判官が要約したものを評議に持ち込んでいる、裁判員と裁判官の情報格差の問題や、対等に評議することができるのかと指摘がありました。

 最後に主催者のまとめとして、本日の議論によって裁判員制度の記録について最高裁自身が未だ確定的なものを明らかにしていない(記録媒体が記録なのか、控訴審用に作成した速記録を含むものが記録なのか、等)ということが全体の認識となったこと、共同行動の課題が見えてきたと結び、再びこのような場を持って具体的な行動へと発展させていきたいと、お忙しい中ご参加いただいた皆さまにお礼と、お願いを述べて閉会となりました。 
  
posted by sokkikan at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 守る会の活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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