2016年01月28日

栃木県弁護士会・会長声明(2015年5月14日付)

昨年(2015年)の5月14日付で、栃木県弁護士会から「裁判所速記官の養成再開を求める会長声明」が出されていました。
昨年は、鹿児島県弁護士会と第二東京弁護士会の二弁護士会から声明・意見書が出されていますとお知らせしてきましたが、三弁護士会でしたので、訂正いたします。
栃木県弁護士会の声明は下記のとおりですが、これは速記官の養成再開を求める声がより大きくなっていることの表れですし、養成再開を求める運動の大きな力になるものです。
うかつにも気づかずにいたことは大変残念なことですが、これからも全国の速記官をめぐる動きや、皆様の声をフォローしていきたいと思っています
改めて、皆様からの情報提供や投稿をよろしくお願いします。
(太郎)

裁判所速記官の養成再開を求める会長声明

 訴訟においては,当事者その他関係人の発言を,詳細かつ正確に記録することが要請される。裁判所法60条の2第1項が,「各裁判所に裁判所速記官を置く」と定めているのは,そのような要請に応えるためである。ところが,最高裁判所は,1998(平成10)年度から,裁判所速記官の新規養成を停止した。その結果,ピーク時には825名いた裁判所速記官は,2014(平成26)年4月1日現在,204名まで減少している。
 現在,裁判所速記官による速記録に代わる方法として,民間業者に委託して録音を反訳する「録音反訳方式」が採用されている。しかし,録音反訳方式では,調書の完成に日数を要するほか,専門用語に精通していない民間業者が反訳を行うため,誤字・脱字や意味不明な反訳が少なくない。また,実際に質問及び応答を聞いていない民間業者が反訳するため,不正確な調書が作成される恐れがある。このように,「録音反訳方式」により作成される調書の正確性には疑問がある。さらに,民間業者に反訳を委託することは,情報管理の観点からも問題がある。
 裁判員裁判においては,連日的開廷に対応するため,ただちに証言等の内容を確認する必要があることから,コンピューターの音声認識を利用したシステムが採用されている。しかし,音声認識の精度はきわめて低く,文字化が著しく不正確であるのが現状である。
 以上のとおり,「録音反訳方式」やコンピューターの音声認識を利用したシステムには,調書作成の迅速さや正確さの観点から重大な問題があり,このようなシステムの下で適正かつ迅速な裁判が可能であるのか,きわめて疑問である。
 また,聴覚障害者の裁判を受ける権利を保障するという観点からも,速記官による速記録の作成は不可欠であり,速記官の減少は,聴覚障害者の権利保障に反するものである。
 一方,速記官を利用する方法であれば,当日のうちに調書を作成することが可能であるし,法律用語に精通した速記官が,実際に法廷に立ち会ったうえで調書を作成するため,正確な調書の作成が可能であり,メリットが大きい。
 世界の多くの国でも,速記機械によるリアルタイム速記を行うことが主流となっている。最高裁判所が速記官の養成を停止したことは,このような世界の流れにも反するものである。
 よって,当会は,最高裁判所に対し,速やかに裁判所速記官の要請を再開するよう求める。

平成27年5月14日
栃木県弁護士会 会長 若狭 昌稔


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posted by sokkikan at 23:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 今日の記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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