2016年01月28日

栃木県弁護士会・会長声明(2015年5月14日付)

昨年(2015年)の5月14日付で、栃木県弁護士会から「裁判所速記官の養成再開を求める会長声明」が出されていました。
昨年は、鹿児島県弁護士会と第二東京弁護士会の二弁護士会から声明・意見書が出されていますとお知らせしてきましたが、三弁護士会でしたので、訂正いたします。
栃木県弁護士会の声明は下記のとおりですが、これは速記官の養成再開を求める声がより大きくなっていることの表れですし、養成再開を求める運動の大きな力になるものです。
うかつにも気づかずにいたことは大変残念なことですが、これからも全国の速記官をめぐる動きや、皆様の声をフォローしていきたいと思っています
改めて、皆様からの情報提供や投稿をよろしくお願いします。
(太郎)

裁判所速記官の養成再開を求める会長声明

 訴訟においては,当事者その他関係人の発言を,詳細かつ正確に記録することが要請される。裁判所法60条の2第1項が,「各裁判所に裁判所速記官を置く」と定めているのは,そのような要請に応えるためである。ところが,最高裁判所は,1998(平成10)年度から,裁判所速記官の新規養成を停止した。その結果,ピーク時には825名いた裁判所速記官は,2014(平成26)年4月1日現在,204名まで減少している。
 現在,裁判所速記官による速記録に代わる方法として,民間業者に委託して録音を反訳する「録音反訳方式」が採用されている。しかし,録音反訳方式では,調書の完成に日数を要するほか,専門用語に精通していない民間業者が反訳を行うため,誤字・脱字や意味不明な反訳が少なくない。また,実際に質問及び応答を聞いていない民間業者が反訳するため,不正確な調書が作成される恐れがある。このように,「録音反訳方式」により作成される調書の正確性には疑問がある。さらに,民間業者に反訳を委託することは,情報管理の観点からも問題がある。
 裁判員裁判においては,連日的開廷に対応するため,ただちに証言等の内容を確認する必要があることから,コンピューターの音声認識を利用したシステムが採用されている。しかし,音声認識の精度はきわめて低く,文字化が著しく不正確であるのが現状である。
 以上のとおり,「録音反訳方式」やコンピューターの音声認識を利用したシステムには,調書作成の迅速さや正確さの観点から重大な問題があり,このようなシステムの下で適正かつ迅速な裁判が可能であるのか,きわめて疑問である。
 また,聴覚障害者の裁判を受ける権利を保障するという観点からも,速記官による速記録の作成は不可欠であり,速記官の減少は,聴覚障害者の権利保障に反するものである。
 一方,速記官を利用する方法であれば,当日のうちに調書を作成することが可能であるし,法律用語に精通した速記官が,実際に法廷に立ち会ったうえで調書を作成するため,正確な調書の作成が可能であり,メリットが大きい。
 世界の多くの国でも,速記機械によるリアルタイム速記を行うことが主流となっている。最高裁判所が速記官の養成を停止したことは,このような世界の流れにも反するものである。
 よって,当会は,最高裁判所に対し,速やかに裁判所速記官の要請を再開するよう求める。

平成27年5月14日
栃木県弁護士会 会長 若狭 昌稔


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2016年01月24日

速記官制度を守る会第19回総会 〜講師は元裁判官木谷明さん〜

 速記官制度を守る会は、前回総会以降の1年間の取り組み報告と今後の運動方針の討議のために、第19回総会を下記のとおり開催します。

 とくに、この1年間の取り組みの中で、衆議院法務委員会での清水忠史議員(日本共産党)の質疑があり、速記官の現状と問題点や、供述記録作成における最高裁の政策上の誤りなどが鮮明にされた画期的なものでした。また鹿児島県弁護士会の会長声明、第二東京弁護士会の意見書が出されるなど、引き続き速記官の養成再開と速記官の活用を求める声が上がっています。
 今後の運動をさらに進めるうえで、大きな力になるものと思います。

 また今回は、講師に元裁判官の木谷明さんをお迎えします。
 木谷さんは、1963年4月、東京地裁判事補任官後、最高裁刑事局付、札幌地裁、東京地裁、名古屋地裁、最高裁調査官、大阪高裁、浦和地裁、東京高裁、東京家裁を経て、1996年浦和家裁所長、1997年浦和地裁所長、東京高裁部総括などを歴任され、主に刑事事件を担当されました。在任中は、多くの無罪判決を出したことでも知られています。
 速記官の養成停止問題が起きていた当時、最高裁からの情報は限られており、きちんとした判断ができなかったとのこと、速記録についての改めての思いを語っていただけることと思います。さらには、電子速記タイプの反訳ソフト「はやとくん」を確認していただいた上での講演ですので、講演内容が期待されます。
 現在は弁護士ですが、近著に「『無罪』を見抜くー裁判官・木谷明の生き方ー」があり、親しみのある語り口で書かれており、木谷さんの人柄や生き方を知る上でぜひご一読いただきたいと思います。
 多くの皆様の総会参加を心からお願い致します。

              記

    日時 2016年2月25日(木)午後6時30分〜
    場所 日比谷図書文化館(日比谷図書館内)
        4階・スタジオプラス
        (東京都千代田区日比谷公園1−4)



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2015年12月06日

守る会大阪支部総会と石渡さんを偲ぶ会

 11月30日(月)、守る会大阪支部は、第15回支部総会と故石渡照代さん(事務局次長)を偲ぶ会を大阪弁護士会館内で開催しました。参加者は、弁護士、元裁判官、現役・OBの裁判所職員、各界懇などから約30人が参加しました。

総会では、安原浩支部長が、開会あいさつで、速記録の必要性が高まっていることを強調されました。次いで、前回総会以降の経過報告、財政報告、方針、次年度役員提案を受け全体で確認しました。最後に「適正かつ迅速な裁判に必要不可欠な、裁判所速記官の養成を早急に再開することは、司法のみならず、国民的課題ともいえる」とする総会アピールを採択しました。

偲ぶ会では、1分間の黙祷をささげた後、石松竹雄顧問(元支部長)が、守る会大阪支部は石渡さんの力がなければやってこれなかった、まだまだ若かったのにとあいさつ。次いで石渡さんのラジオインタビューの音声とスライドが披露されました。石渡さんの懐かしい声を聞き、生前の石渡さんのスライドに見入りました。奥田正本部副会長は、最高裁が速記問題を提起するようになった頃の石渡さんとの思い出や石渡さんに励まされながら活動を進めてきたこと、一日も早く養成再開の報告ができるよう頑張る決意などを追悼の言葉として述べました。

参加者からは、石渡さんが亡くなってとても寂しいこと、いろいろと頼りにしていたこと、とても旅行好きで海外にも何度か行っていること、旅行中のエピソードなど話が尽きません。70歳になって間もなくのことであり、まだまだ若い死を惜しむ声が続きました。石渡さんの優しさ、厳しさ、企画力と実行力に優れ、細やかな心づかいができ、人を乗せることが上手で、おしゃれで素敵な女性だったことなど思いのこもった話がいろいろと出されました。

最後に、石渡さんの娘さんから、「生前は本当に元気な人で、いろいろなことに好奇心を持ち、チャレンジしていた」ことや偲ぶ会へのお礼が述べられました。

会場には、石渡さんのアルバムや石渡さんがかかわったブックレットやパンフレット、DVDなどが展示され、改めて石渡さんの存在の大きさが偲ばれました。(太郎)



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2015年10月07日

第二東京弁護士会・速記官養成等の意見書

2015年9月30日付で、第二東京弁護士会から、最高裁判所長官あてに「裁判所速記官養成等に関する意見書」が出されました。第二東京弁護士会には、心から敬意を表します。

全文は以下のとおりですが、8月25日の鹿児島県弁護士会に引き続き、第二東京弁護士会が最高裁長官あてに速記官の養成再開を求める意見書を発出してくれたことは、私たちの運動の上でも、とても大きな力になります。

最高裁が、裁判所速記官の養成停止を決定してから、今年で18年が経ちます。
当初、最高裁が予定していた音声認識システムによる供述調書の自動作成方式は、実用化の目途としていた10年が過ぎても、実用化の可能性すら見えていません。
最高裁は、今年4月の衆議院法務委員会で、音声認識システムの反訳精度が、当初の目標に達していないことを正式に認めました。

一方、全国の速記官の大変な努力により、リアルタイム速記システムができています。
態勢の確保ができれば、速記録の即日作成が可能となっているのです。
これまでにも、多くの弁護士会、弁護士連合会から速記官の養成再開を求める要望や意見、声明が出されてきましたが、裁判員裁判が開始されて、速記録の必要性がますます高まっている現状を考えると、一日も早く、速記官による速記録作成の態勢確立と速記官の養成再開が求められています。
最高裁が、裁判所速記官の養成停止・速記官制度廃止の方針を改めるべき時期は、とうに来ているのです。

            記

             2015年(平成27年)9月30日
最高裁判所
 長官  寺田逸郎 様
                   第二東京弁護士会
                    会長  三宅  弘

     裁判所速記官養成等に関する意見書

第1 意見の趣旨
 1 裁判所速記官の養成を再開するべきである。
 2 特に裁判員裁判事件においては,証人等尋問及び被告人質問について,裁判所速記官による 速記録を作成するべきである。

第2 意見の理由
 1 公正な裁判を実現するための裁判所速記官による速記の必要性
  民事訴訟及び刑事訴訟のいずれにおいても,公正な裁判を実現するためには,証人,鑑定人,通訳人及び翻訳人(以下「証人等」という。)の尋問並びに被告人質問(以下「証人尋問等」という。)について,正確な調書が作成されることが必要不可欠である。不正確な調書からは,裁判所(証人尋問等が実施された審級の裁判所のみならず上訴審裁判所も含む。)が証人等や被告人の供述を正確に把握することができず,それによって誤った裁判がなされる虞があるからである。
 現在,調書の作成にあたっては録音データの反訳を民間業者に委託する方法が一般的である。しかし,正確な調書を作成するためには,以下に述べる理由から,録音反訳の方法よりも裁判所速記官に速記録を作成させる方法によるべきである。
  @ すなわち,証人尋問等においては,発言者の発声が不明瞭であったり,声が小さかったり,複数人の発言が重なってしまったりする場合がある。そのような場合に,後から録音データを聞いても正確な反訳が困難であることがあり得る。これに対して,裁判所速記官が証人尋問等に立ち会っていれば,不明瞭な発言等があった時点で直ちに裁判長に告げて対処を求めることが
できるから,記録が困難な発言がそのまま放置される虞がない。
  A また,裁判所から反訳を受託する民間業者は法律用語の専門家ではないから,発言の趣旨を正しく理解することができず,不正確な反訳をしてしまう虞がある。これに対して,裁判所速記官は法律用語に通じた専門家であるから,発言の趣旨を正しく理解して正確な速記録を作成することが期待できる。録音反訳の方法による場合にも後に裁判官等が内容を確認しているであろ
うが,不正確な記載が含まれる反訳書を数週間後に裁判官等が確認するよりも,当初から法律用語に通じた裁判所速記官が速記録を作成する方が,誤りが生じる可能性が低いことは明らかである。

 2 迅速な裁判を実現するためにも裁判所速記官によって速記がなされる必要性
  さらに,迅速な裁判を実現するためにも裁判所速記官によって速記録が作成されるべきである。
  すなわち,録音反訳の方法によって調書を作成するためには,証人尋問等が終了してから数週間を要するのが通常である。そのため,後述する裁判員裁判事件を除いて,証人尋問等が終了してから最終準備書面の提出や論告及び最終弁論までの間に1か月以上の期間が空けられるのが一般的であり,裁判の迅速性を阻害する要因となっている。刑事訴訟法281条の6第1項は,審理に2日以上を要する事件について「できる限り,連日開廷し,継続して審理を行わなければならない」と定めているが,現実には裁判員裁判事件以外で連日開廷が行われる事例は皆無である。その一因も,証人尋問等の調書の作成に長期間を要する点にあると考えられる。
  これに対して,裁判所速記官は速記録を直ちに作成することが可能であり,必要に応じて実施当日のうちに速記録の初稿を仕上げることもできるから,録音反訳の方法に比べて格段に迅速に訴訟手続を進めることが可能である。

 3 裁判員裁判事件で特に裁判所速記官によって速記録が作成される必要性
  裁判員裁判事件では,録音反訳の完成を待って審理や評議を行うような進行は不可能であるから,裁判所速記官に速やかに速記録を作成させる必要性が特に高い。
  なお,現在,裁判員裁判事件においては,調書の作成とは別途,いわゆる音声認識システムによって,証人尋問等の音声及び映像と文字データを記録する運用が行われている。しかし,音声認識システムによる文字データの正確性は極めて低く,公判や評議の合間に相応の時間にわたって音声を聞き直したり映像を見直したりする時間的余裕もないのが通常であるため,裁判官及び裁判員が,証人等や被告人の供述を評議で参照するためには,主に自らの手控えによる他ないのが実情である。
  その結果,評議において,参照される供述の正確性に疑義があるだけでなく,手控えに記載されなかった供述は参照されないという弊害が生じうる。すなわち,証人尋問等の手控えの作成は,その訓練を受けていない裁判員にとって困難であることはもちろん,裁判官であっても,証人尋問等のすべての内容を記載することは不可能であり,証人尋問等を聞きながら,自らが理解したところを記載することになる。しかし,証人尋問等が行われているその時点で,リアルタイムで個々の発問と回答の趣旨を理解していなければ,実際は重要な供述であっても,手控えに記載できないまま通り過ぎることになってしまう(特に,敵性証人に対する反対尋問の場合,その効果が損なわれないよう,尋問の目的は予め明らかにしないのが通常であるため,裁判員は尋問の目的を理解できずに手控えをとれない場合が多いと考えられる。)。その結果,評議において,重要な供述が手控えに記載されなかったために参照されなくなってしまい,いわば無かったもののように扱われてしまう可能性があるのである。それでは,一部の証拠を見ずに判断をして
いるに等しく,公判中心主義,直接主義の本来の目的である,審理の正確性,真実解明の目的に反する。
  この弊害を回避するためには,評議において証人尋問等の結果を迅速かつ正確に参照できるようにする必要があるが,それは現行の音声認識システムによっては著しく困難である一方,裁判所速記官による速記があれば,より迅速かつ正確に,証人尋問等の結果を参照することが可能となるのである。

 4 結語
  以上のとおり,公正で迅速な裁判を実現するためには裁判所速記官によって速記録が作成される必要があるから,裁判所速記官の養成を直ちに再開すべきである。そして,裁判員裁判事件では特に速記録が作成される必要性が高いから,養成された裁判所速記官には裁判員裁判事件を優先的に担当させる運用がなされるべきである。
                             以上






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2015年09月13日

日本国民救援会第69回東京都本部大会、今回も速記官養成再開を方針化

9月10日、日本国民救援会東京都本部から第69回大会の議案書が出されました。

今回の大会議案でも、速記官制度問題が取り上げられました。
該当部分は次のとおりです。

三、一年間の活動の総括と今後のたたかい
(四)司法改革の取り組み
(前略)
「裁判の速記録は、被告人の権利を守り公正・迅速な司法を実現をする上で重要な役割を担っています。同時に国民救援会が進める大衆的裁判闘争にとっても正確な裁判記録(速記録)はたいへん重要です。速記官の養成再開と速記機材の官支給を最高裁に対し求めます。司法総行動など他団体との共同に尽力します。」
(後略)

日本国民救援会は、人権と民主主義を守ることをめざす団体ですが、最高裁から速記官の養成停止(速記官制度廃止)の案が出された当初から養成停止に反対してきた団体です。
今回も引き続き、速記官の養成再開、速記官の処遇改善の方針を出されたことに心から敬意を表したいと思います。
司法総行動はじめ、速記官の養成再開、速記官の処遇改善をめざし、ともに力を合わせて頑張りましょう。

大会は、10月10日(土)午前9時30分から、平和と労働センター2階ホールで開催されます。
裁判闘争に取り組む多くの団体や争議団などの訴えを聞くこともできますし、多くの課題を共有することもできる場です。多くの皆さんの参加を呼びかけます。(太郎)




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2015年09月04日

鹿児島県弁護士会「速記官の養成再開を求める会長声明」


とても嬉しいニュースです。
8月25日、鹿児島県弁護士会から「裁判所速記官の養成再開を求める会長」が出されました。(全文は、下記のとおりです。)

九州では、大分県弁護士会、宮崎県弁護士会に続いて3番目になります。
これで全国の単位弁護士会のうち4分の1を超える弁護士会が速記官の養成再開を求める声明等を出したことになります。私たちの取り組みの広がりが感じられます。
弁護士会への要請は地道な取り組みですが、これからもしっかりと続けていきましょう。

           記

    裁判所速記官の養成再開を求める会長声明

 司法制度改革により,裁判の充実及び迅速化のための公判前整理手続,裁判員裁判等が新たに導入されるなど,連日開廷がなされる事案も増加するなかで,民事訴訟,刑事訴訟いずれにおいても正しい事実認定に基づく適正かつ公正な裁判,迅速な裁判の実現が求められている。そして,適正かつ公正な裁判,迅速な裁判の実現のためには,法廷での供述内容,証言内容が即時かつ正確に確認できるようにすることが必要不可欠であり,裁判所速記官が訴訟の場において担う役割,功績は多大なものである。
  裁判所法第60条の2第1項は,「各裁判所に裁判所速記官を置く。」と規定し,各裁判所に裁判所速記官を配置することを定めている。また,裁判所法第60条の2第2項は,「裁判所速記官は,裁判所の事件に関する速記及びこれに関する事務を掌る。」と規定し,民事訴訟,刑事訴訟いずれにおいても,法廷における供述記録及び証言記録の速記及びこれに関する事務は,裁判所速記官によって行われることが定められている。
  しかしながら,最高裁判所は,1998年度(平成10年度)から裁判所速記官の新規養成を停止した。新規養成の停止に伴い,1996年度(平成8年度)に最大825名いた裁判所速記官の人数は,必然的に減少し,2015年(平成27年)4月現在,200名にまで減少している。さらに,裁判所速記官がいない地方裁判所まで存在している。最高裁判所は,これまでの裁判所速記官による速記録に代わるものとして,民間業者に委託した録音反訳方式,音声認識システムを導入し,現在,運用されている。
  ところが,民間業者への委託による録音反訳方式,音声認識システムによる運用では,調書の完成までに時間を要し,迅速な裁判の実現に支障が生じる。また,法律用語や訴訟に関する専門的な表現に精通しておらず,かつ法廷における尋問に立ち会っていない民間業者が作成することや音声認識システムの精度が低いことを原因として意味不明な箇所,訂正漏れ並びに誤字及び脱字等が発生することによる不正確な調書が作成され,適正かつ公正な裁判の実現が妨げられる。そして,調書作成の民間業者への委託は,情報漏洩など情報管理及びプライバシー保護の点に問題があるなどの弊害が生じる。
  一方で,裁判所速記官による速記録は即日作成が可能である。また,速記録の作成を行うために養成された裁判所の専門職である裁判所速記官は,法律用語に精通しており,実際に法廷における尋問に立ち会い,必要に応じて尋問の場で供述,証言を確認して調書を作成するので,民間業者への委託による録音反訳方式や音声認識システムを利用する場合に生じる誤訳等による不正確な調書が作成されるおそれや情報漏洩等の弊害が生じるおそれはない。
  裁判所速記官の養成は停止されているものの,適正かつ公正な裁判,迅速な裁判の実現のために,訴訟の場において,裁判所速記官に求められる役割は,これまでと何ら変わっておらず,むしろ,司法制度改革による諸制度の創設などにより増大している。
  よって,当会は,最高裁判所に対し,速やかに裁判所速記官の養成を再開するように求める。

2015年(平成27年)8月25日
         鹿児島県弁護士会
            会 長 大 脇 通 孝





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2015年08月10日

最高裁の言論弾圧?アメリカの速記・削除命令

DSCF3228.JPG   最近、「ニッポンの裁判」(瀬木比呂志著・講談社現代新書)を読んだ。
   著者は、裁判官から2012年に明治大学法科大学院専任教授に転身された方である。
   法曹関係者などの間で話題となった「絶望の裁判所」(講談社現代新書)など裁判所の現状を批判的に書
 かれた著作や「民事保全法」などの専門書、その他一般書などの著作がある。
   本書は「絶望の裁判所」の姉妹書であるとされる。
   記載内容については、いろいろと考えさせられることも多い。
   本書のご一読をぜひお薦めしたい。

   さて、この本を取り上げた理由は、その「あとがき」に以下の記述があるからである。多少長くなるがぜ
 ひ紹介したい。「」内の太字部分が判事補の記載である。

 判事補時代に学者に転身された方(年齢は私より十数年若い)が事務総局の言論統制、弾圧について記したインターネット上の文章を、御参考までに引用しておこう。表現を若干整えた以外は原文のままである。
私も、判事補在職中に最高裁秘書課や民事局から、論文の削除、訂正を求められた経験がある。といっても、最高裁を直接批判するようなことを書いたのではない。最高裁いわく、『アメリカでは速記官が法廷でのやりとりをすべて記録している』という記述は、最高裁の進める速記官の養成廃止の方針に反するから削除せよ」『(中略)短期賃借権者のほとんどは正常な賃借権であり、全部廃止するのはゆきすぎである』という記述は、立法妨害になるから削除せよ」
(中略)一介の判事補が、最高裁から名指しで圧力を受けるのは結構きつい。(中略)若手裁判官に対しては、最高裁判所事務総局は、このように、検閲や発禁処分に等しいことまでやっている。これは、日本国憲法21条2項違反の行為である。驚くべきことだが、ここでも、裁判所自身が法を犯しているのだ。

とのことである。この一文を目にして、やはり最高裁はここまでやっていたのかとの思いを新たにした。
最高裁判所裁判官会議での裁判所速記官の養成停止決定(速記官制度の将来廃止決定)に至る経過とその後の事務総局のやり口を見れば、著者の指摘が事実無根だとか的はずれだとは到底思えない。

速記官の養成停止の問題で言えば、養成停止決定は、最高裁判所裁判官が国会で成立した裁判所法で定められた職員制度を最高裁の判断で、事実上制度をなくしてしまう(最高裁による消極的立法)というものである。
最高裁の裁判所速記官の養成停止決定は、単なる法律違反ではない。
国会の立法権を侵害したもので、国政上の大問題だからである。

判事補の指摘した事実は、少しでもアメリカの法廷を知るものにとっては、常識であるといってもよいことである。州によっては、記録の残し方に違いがあるといわれているが、客観的で正確な公判記録等を残そうとする姿勢は共通である。いったんは録音反訳方式を採用しながら、法廷速記に回帰した州もあると聞く。

日本の最高裁事務総局には、残念ながら客観的で正確な公判記録を残そうとする姿勢がない。
事務総局は、裁判所の合理化を優先し、客観的で正確な記録の作成ひいては公正・迅速な裁判は二の次にされているといわざるをえない。
現に、裁判員裁判では、審議・評議に際して、法廷の供述調書が作成されていないため、裁判員自身のメモと記憶だけで審議・評議することが求められている。
こうした裁判で、本当に誤判を生むことはないだろうか。
裁判員裁判による冤罪はないといえるだろうか。
公正・迅速な裁判はどうやって保障されるのだろうか。

客観的で公正・迅速な公判記録の作成は、国民の裁判を受ける権利の保障のために必要不可欠な制度の一つである。
一日も早く、裁判所速記官の養成再開が求められている。
改めて声を大にして、広く訴えたい。
(太郎)










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2015年06月26日

日本裁判官ネットワーク・例会とファンクラブ代表の石渡さん「偲ぶ会」

 6月20日、日本裁判官ネットワークの6月例会が、大阪弥生会館で開催されました。
 今回は、第1部として、市民推薦で弁護士任官され、この 月に定年退官した神戸地裁部総括工藤涼二裁判官の退官記念講演「裁判官(弁護士任官)を終えて」があり、自身の生い立ちや苦労して弁護士になったこと、任官を志した理由、裁判官になっても「市民感覚」を心掛けたこと、弁護士任官制度の意義などが、軽妙な語り口で話されました。
 第2部として、「弁護士任官を増やすにはどうすればよいか」のテーマでパネルディスカッションが行われました。井垣敏生(元裁判官)さんの基調報告を受けて弁護士任官の意義を確認しましたし、工藤さんや他のパネリストからもそれぞれ活発な意見が出されました。
 例会後の懇親会は、Jーネット・ファンクラブの代表であり、裁判所速記官制度を守る会大阪支部の事務局次長を務めてくださっていた「石渡照代さんを偲ぶ会」として開かれました。
 偲ぶ会では、石渡さんと速記官同期であり、親しくお付き合いされていた春名さんから、石渡さんの経歴や活動歴、石渡さんのお人柄が詳しく紹介されました。私は、石渡さんが表立った活動だけでなく、守る会のブログを一手に引き受け、多くの記事を書き続けていたことなどの思い出を話ました。参加された方々もそれぞれ思い出話をされていましたが、石渡さんには人を動かす力があって、いろいろなことが進んだとの話には改めて感心しました。
 石渡さんの娘さんも出席され、家の中でも元気いっぱいの母であったとの話がありました。
 石渡さんを失ったことは本当に残念なことですし、とても悲しいことでした。
 いま、改めて大きな喪失感とともに石渡さんの思いをしっかりと受け継ぐことの大切さを感じています。
 石渡さんのご冥福をお祈りしています。(太郎)
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2015年06月16日

第一、第二東京弁護士会に要請

6月15日、第一東京弁護士会と第二東京弁護士会に、「意見表明等のお願い」と題する要望書を手交し、速記官の養成再開などを求める意見表明を発出してくださるように要請しました。
要請行動には、鶴見会長と奥田副会長が参加し、各弁護士会の事務局責任者に趣旨説明をしました。
対応してくれた事務局長(一弁)、事務局次長(二弁)は、担当役員に説明し検討してもらうようにするとのこと。
検討結果は後日問い合わせすることとなりました。
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2015年05月04日

5・3憲法集会、横浜で3万人以上の参加

DSCF3065 - コピー.JPG平和といのちと人権を!

5・3憲法集会

〜戦争・原発・貧困・差別を許さない〜


 今年の憲法集会は、横浜・臨港パーク(みなとみらい地区)で開催されました。

抜けるような青空で、文字どおりの五月晴れのもと、会場は3万人以上の参加者で埋め尽くされました。


今回は、アジア・太平洋戦争敗戦後70年の節目の年、とりわけ安倍内閣を中心とする右翼・反動勢力による戦争法制立法化の策動など、憲法の平和主義を根底から覆そうとする動きが強まっている情勢のもとでの重要な集会です。


大江健三郎さんはじめ、多くの方から平和への思いと自公政権の戦争立法化の策動に対する怒りを込めた発言がありました。憲法を守り平和な世界を築こうとする大勢の人の姿に、とても力強い思いがします。

なんとしても、憲法9条を守り、世界の平和を守りぬく決意のみなぎる集会で、久しぶりに強い感動を覚えました。

(5月4日付東京新聞朝刊の1面には、憲法集会の航空写真が掲載されており、近年になく大規模な集会であったことが実感できます。)

会場では、知り合いのNさん、Wさんご夫妻にお会いしました。Iさんご夫妻も参加されていたとのことですが、残念ながらお会いできませんでした。

(太郎)


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